やけどとは

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お子様から高齢の方まで、受傷する可能性の高いケガの一つにやけどがあります。やけどは高温などによって皮膚や粘膜などの組織が損傷した状態のものです。熱いお湯や油をこぼした、料理中に鍋に触れてしまった、ストーブに触ったなど、日常生活の中にはやけどを負う危険が少なくありません。またこうした高温によるやけど以外にも、電気や化学薬品、摩擦、放射線などによるやけどもあります。

やけどの程度は深度によってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分けられます。深部までの組織が損傷を受けた場合、様々な皮膚の機能が失われて重い合併症を引き起こしたり、命に関わる状態になったりする可能性があります。やけどは一見、症状が軽く思われても、損傷が深くまで至っている場合もありますので、お早めに医療機関を受診し、適切な処置を受けることが大切です。

原因

やけど(熱傷)は原因によって「通常熱傷」「低音熱傷」「化学熱傷」「電撃傷」などに分けられます。

通常熱傷は、高温の熱源に触れて起こるやけどで、日常生活で最もよくみられるものです。鍋やアイロンなどの「固体」、お湯や油などの「液体」、炊飯器やポットの蒸気などの「気体」、さらには、コンロの火や花火、火災などで、直接「炎」に触れることで発症します。

低温熱傷は、比較的低温(44~60度程度)の熱に、長時間さらされることで発症するやけどです。使い捨てカイロや湯たんぽ、電気毛布、ホットカーペットなどが原因となります。低温熱傷は比較的軽傷であると思われがちですが、接触時間が長い分、皮膚の深い部分まで障害が及ぶ危険性があり、治療に時間がかかる場合があります。

化学熱傷は、酸やアルカリ、有機溶剤といった化学薬品に皮膚が触れることにより発症するやけどです。化学薬品を扱う工場や工事現場などだけでなく、家庭で日常的に使用する洗浄剤や漂白剤などによって引き起こされる場合もあります。

電撃傷は体に電気が流れることにより、体内で熱が発生して体の深部にある筋肉などの組織が損傷を受けるやけどです。工事現場での感電や、落雷による感電がありますが、ご家庭でもお子様などがコンセントで感電してしまうケースや、家電、配電盤などが原因となることもあります。

このほか皮膚が擦れるなどの摩擦によってやけどの症状となる場合や、放射線を使用する場での事故による被曝が原因でやけどをする場合もあります。

症状

やけどは皮膚がどのくらい損傷しているかによって段階が分けられています。損傷が表皮までのものはⅠ度、真皮までで浅いものは浅達性Ⅱ度、深いものは深達性Ⅱ度、皮下組織までに障害が及んだものはⅢ度とされます。それぞれのやけどの段階や範囲の広さによって様々な症状がみられます。

炎症

Ⅰ度のやけどでは皮膚が日焼けのように赤くなる程度で、乾燥する場合があります。熱を持つこともあります。

水ぶくれ

Ⅱ度のやけどでは水ぶくれができることが特徴です。やけどした個所がジュクジュクとした状態になることもあります。

痛み

Ⅰ度のやけどでも痛みを感じることがあります。浅達性Ⅱ度ではさらにヒリヒリとした痛みが強まりますが、深達性Ⅱでは痛みが弱まることがあります。Ⅲ度にいたると神経が障害され痛みを感じなくなることがあります。

発熱

やけどによる損傷が深かったり広かったりすると、全身に熱感や発熱が生じる場合があります。

深達性Ⅱ度やⅢ度のような深いやけどでは、神経や血管に損傷が及ぶため、感覚や血流にも障害が起こります。場合によっては命に危険が及んだり、部位によっては身体機能に障害が残ったりする可能性があります。

治療

やけどの場合は、受傷後なるべく早く応急処置を行うことが重要で、その後の回復にも大きく影響します。

応急処置について

まずは直ちに流水で冷やすことが大切です

水道水、あるいは浴室のシャワーなどで5~30分を目安に冷やすようにしましょう。冷やすことで、やけどが深くなることを防ぎ、痛みも軽減します。ただしお子様や高齢の方は低体温症のリスクがあるため、広範囲を長時間冷やす際は注意が必要です。化学熱傷の場合は原因の薬品を速やかに洗い流すことが重要です。

水ぶくれはなるべく破らないようにしましょう

水ぶくれができている場合は、できるだけ破らないようにして医療機関を受診しましょう。場合によっては服を着たまま水で冷やすようにします。無理にストッキングなどを脱ごうとすると水ぶくれが剥がれてしまいますので注意が必要です。またやけどした部分は次第に腫れていきますので、指輪などのアクセサリーは早めに外しておきましょう。

浅いやけどの場合

浅いやけどであれば、表皮のもととなる細胞が多く残っているので、軟膏や被覆材による治療で皮膚の再生が望めます。軟膏は消炎効果や鎮痛効果のあるものを用い、皮膚を乾燥させずに湿潤環境を保つ被覆材を使用します。またやけどの傷に細菌などが感染してしまうと治癒に時間がかかってしまうため、抗菌効果のある外用薬を使用する場合もあります。Ⅰ度・Ⅱ度の浅いやけどの場合、早期に適切な治療を行えば、後遺症はほとんど残りません。

深いやけどの場合

Ⅲ度のやけどでは、血流が無くなり、皮膚が壊死した状態になっています。壊死した皮膚をそのまま残しておくと細菌の感染源となる恐れがあるので、基本的には切除します。切除の範囲が広い場合は、体のほかの部分から皮膚を移植する手術が必要となります。